COLUMNコラム
2026.02.25
2026.02.25
振袖を既婚者が着るのはダメ?着てもよい場面や結婚後の活用方法も解説

「既婚者は振袖を着てはいけない」と聞いたことのある方は多いかもしれません。振袖は長い袖に意味が込められ、江戸時代から未婚女性の礼装として扱われてきた歴史があります。しかし現代では、式典の多様化や価値観の変化により、既婚女性が振袖を選べる場面も増えてきました。とはいえ、年齢やTPOによっては避けたほうが良い場合もあるため、場面ごとの判断が大切です。
当記事では、既婚女性が振袖を着てもよいシーン・控えるべきシーン、振袖を着られる年齢の目安、結婚後の賢い活用方法、また既婚女性の第一礼装である留袖との違いなどを分かりやすく解説します。
振袖を既婚女性が着るのはダメと言われる理由

振袖は、江戸時代の中頃から「若い未婚女性の第一礼装」として定着した歴史があります。当時の女性は、自分の気持ちを言葉で伝えることが好まれず、長い袖を振ることで男性への好意や断りを表していました。袖を左右に大きく振ると「好意」、素早く振ると「お断り」の意味になり、結婚した女性は誤解を招かないよう袖を短くしたと言われています。この文化が広く浸透したことで、振袖は未婚女性の象徴として扱われ、既婚女性は着用を避ける習慣が残りました。
現代では意思表示として袖を振ることはありませんが、伝統的な意味合いは受け継がれ、成人式や結婚式などの場では、振袖=若い未婚女性の装いというイメージが根強く続いています。
既婚女性が振袖を着てもよい場面・ダメな場面
現代は式典の在り方が多様化しており、「振袖=未婚女性限定」という考え方にこだわりすぎる必要はありません。ただし、場面によってはマナーとして避けたほうが良いケースもあります。ここでは、振袖を着ることが多い成人式や結婚式などのシーン別に、既婚女性が着てもよい場面・控えるべき場面を解説します。
成人式に出席するとき
成人式では、既婚女性が振袖を着てもまったく問題ありません。振袖は未婚女性の第一礼装という側面よりも、「成人という節目を祝うための正装」という意味合いが強く、結婚しているかどうかは問われないためです。20歳の門出を祝う晴れ舞台では、すべての女性に振袖を選ぶ権利があり、結婚している・子どもがいるといった事情に関係なく、好きな振袖で式に臨むことができます。
また、現代は式典の在り方が多様化しており、振袖を未婚女性だけに限定する習慣を厳密に守る必要はないと考えられています。もともと振袖は未婚・既婚を問わず着られていた歴史もあり、周囲に迷惑をかける場面でなければ大きな問題はありません。成人式では振袖がもっとも華やかで人気が高い装いなので、既婚の女性でも安心して選べる衣装と言えるでしょう。
結婚式に参加するとき
結婚式では、既婚女性でも振袖を着られる場面があります。特に、結婚して間もない若い女性であれば、友人や親戚の結婚式に振袖で参列しても大きな問題にはなりません。招待客の多くが既婚・未婚を細かく把握しているわけではなく、華やかな振袖は式の雰囲気にも自然になじむためです。また、自身の結婚式でのお色直しとして振袖を選ぶケースも多く、「大振袖」のような華やかなタイプは晴れの舞台にふさわしい装いとされています。
ただし、既婚であることを周囲がよく知っている場合や、年配の参加者が多い式では避けたほうが安心です。振袖は未婚女性の礼装という意識が今も根強く、誤解や不快感を生む可能性があるためです。参列する際は、主催者や親しい参加者に事前に確認し、TPOに合った装いかどうか配慮することが大切です。
振袖は何歳まで着ても大丈夫?
振袖には年齢制限がなく、未婚であれば何歳でも着用できます。ただし、伝統的に「若い未婚女性の第一礼装」というイメージが強いため、一般的には30代前半から中ごろまでを1つの目安と考えられることが多い傾向です。これは、振袖が「未婚=若さ」を象徴する衣装として受け継がれてきた背景によるものです。
しかし、現代は価値観が多様化しており、30代以上で振袖を選ぶ方も増えています。年齢を重ねて着用する場合は、色味を落ち着かせたり、帯結びを上品に整えたりすることで自然な印象になります。大切なのは、TPOと自分が心地よく過ごせる装いを選ぶことです。
結婚後に振袖を活用する方法

結婚後に振袖を着る機会は減りますが、大切な一着を無駄にする必要はありません。振袖は仕立て直して訪問着にしたり、小物として生まれ変わらせたり、子どもに受け継いだりすることもできます。また、譲渡やリサイクルなど手放し方の選択肢も豊富です。ここでは、結婚後の振袖の活用方法を紹介します。
訪問着や洋服・小物としてリメイクする
結婚後も振袖を活用したい場合は、訪問着への仕立て直しが代表的な方法です。振袖の長い袖の丈を約49~53cmに詰めることで、結婚式のお呼ばれや子どもの入学式・卒業式など、幅広い場面で着用できる優雅な訪問着へ生まれ変わります。新しく訪問着を購入するより経済的で、思い出の一着を長く愛用できる点も魅力です。
袖詰めの費用は1万~数万円ほどですが、長襦袢の調整が必要な場合は追加料金が発生します。また、柄の位置や生地の状態によっては仕立て直しが難しい振袖もあるため、事前に着物専門店へ相談するのがおすすめです。ほかにも、洋服やバッグなどの小物にリメイクする方法もあり、愛着のある振袖を日常アイテムとして楽しめます。
ママ振袖として子どもに引き継ぐ
結婚後に振袖を活用する方法として、将来子どもに引き継ぐ「ママ振袖」という選択があります。実際に、成人式で母親の振袖を着る方は近年増えており、思い出を共有できることやほかの人と被りにくい点が人気の理由です。帯や小物を現代風にアレンジすれば、少し年代を感じる振袖でも今風に着こなせます。
ただし、長期保管には湿気対策や防虫対策が欠かせません。カビやシミが発生すると着用できなくなるため、専門店でのクリーニングや点検を定期的に行いながら、良い状態を維持することが大切です。また、着る時期が近づいたら、体型に合わせてサイズ直しが必要な場合もあるため、早めに準備を始めましょう。
人に譲る・リサイクルショップなどで売る
人に譲ったり売却したりして活用する方法もあります。親戚や友人の子どもなど、身近に振袖を必要としている人がいれば譲ることで、思い出のある振袖を大切に着てもらえるでしょう。また、手放す場合はリサイクルショップや着物専門の買取店を利用するほか、フリマアプリで個人間売買をする方も増えています。
処分してしまうより、必要としている人に届けることで、振袖を無駄なく生かせるのが大きなメリットです。今後着る予定がないと感じたら、譲渡や売却も選択肢として検討してみるとよいでしょう。
既婚者の第一礼装は留袖

既婚女性の第一礼装とされるのが「留袖」です。留袖には黒留袖と色留袖の2種類があり、格式や着用シーンに違いがあります。まず、もっとも格が高いとされるのが黒留袖です。黒留袖は黒地の生地に裾だけに絵羽模様が施された着物で、既婚女性に限定された礼装とされています。五つ紋をつけた黒留袖は、結婚式における第一礼装として扱われ、新郎新婦の母親や姉妹、祖母、伯母・叔母など、ごく近い親族のみが着用する特別な装いです。袖を短く留めた形は、「未婚時代との区切りをつける」という意味合いもあると言われています。
一方、色留袖は黒以外の色で仕立てられた留袖で、華やかな色柄が特徴で、色留袖は既婚・未婚を問わず成人女性であれば着用できます。五つ紋と比翼仕立ての色留袖は黒留袖と同格の第一礼装として扱われますが、紋の数が三つ紋・一つ紋などの場合は準礼装として結婚式の親族以外にも着られる場面が広がります。パーティー、お茶会、式典など、フォーマルなシーンで幅広く活躍する着物です。
このように、既婚女性がもっとも格式高い場で着用するのは黒留袖であり、色留袖は格と用途の幅が広い着物として位置づけられています。振袖を卒業した後も、TPOに合わせてこれらの礼装を選ぶことで、正統派の着物姿を美しく楽しめます。
まとめ
振袖は江戸時代に未婚女性の象徴として定着し、既婚女性が着用を控える習慣が続いてきましたが、現代では成人式や一部の結婚式で既婚女性が振袖を着ても問題ありません。ただし、年配者が多い場などでは誤解を招く可能性があるため、TPOに配慮することが大切です。振袖は30代前半までは自然に着こなせるとされますが、年齢制限はなく、色や帯を工夫すれば30代以降も楽しめます。
結婚後は訪問着への仕立て直しや小物リメイク、ママ振袖として子どもに継承、譲渡・売却など活用方法も豊富です。既婚女性の第一礼装は黒留袖であり、色留袖は既婚・未婚問わず幅広い場面で着用できます。
この記事を書いた人
デザイナー 徳井愛子
現デザイナー職に就く前は、きものやまと店舗スタッフとして、多くのお客様のハレの日のお手伝いをして参りました。ふりそで選びは勿論、サポートに至るまで、これまでの豊富な経験をベースに、お客様に寄り添い、お役に立つ情報をお届けいたします。
監修者
きものやまとデザイン部
創業109年のきもの専門店「きものやまと」。さんちと共に、文化と伝統を受け継ぎ、新しい暮らしに寄り添う、きものやまとのオリジナル着物を創作・ご提案しています。お客様の日々とハレの日を彩る振袖がいい出会いとなるよう、心を込めてお手伝いいたします。







